『悪魔のいる天国』 by 星 新一
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読んだ/観た日:2020/05/29 - 2020/06/01
★小説/絵本/映画/マンガ/ドラマ/アニメ総合:4.5
ストーリー:4.8
エンディング:4.9
登場人物/演技:4.0
絵/文章/映像/音楽:4.3
世界観/独創性:4.0
おしゃれさ/エンタメ性:5.0
深さ/哲学性:4.0
他の人におすすめ:5.0
あらすじ/概要
ふとした気まぐれや思いつきによって、人間を残酷な運命へ突きおとす“悪魔”の存在を、卓抜なアイデアと透明な文体を駆使して描き出すショート・ショート36編を収録する。人間に代って言葉を交わすロボットインコの話『肩の上の秘書』未来社会で想像力にあふれた人間を待ち受ける恐怖を描く『ピーターパンの島』など、日常社会、SFの世界、夢の空間にくりひろげられるファンタジア。
目次
合理主義者
調査
デラックスな金庫
天国
無重力犯罪
宇宙のキツネ ★
誘拐
情熱
お地蔵さまのくれたクマ
黄金のオウム
シンデレラ
こん
ピーターパンの島
夢の未来へ ★
肩の上の秘書
殺人者さま
ゆきとどいた生活
愛の通信
脱出口
もたらされた文明
エル氏の最期
夢の都市
サーカスの旅
かわいいポーリー
契約者
となりの家庭
もとで
追い越し
診断
告白
交差点
薄暗い星で
帰路
殉職
相続
帰郷
読書/鑑賞中メモ
三つの願いをこんな使い方するとは笑
天国はなんで戻りたいのかいまいちわからん
宇宙のキツネめっちゃ好き
ピーターパンの島怖い
夢の未来へ、もいいね
ブラックなのに悪意がない/育ちがいいと感じるのはなぜだろう
薄暗い星で、切ない
感想/考察
何回か読んでるがやっぱりおもしろい!
軽い読み物のようであって、意外とグサグサくるものがある。下手に感情で訴えようとしない分、冷静に突き刺さってくる
ブラックユーモアなのだが、嫌味がない。たぶん「戒め」があんまりないからじゃないだろうか。人類ってこんなにバカなんだよ、俺はそれに気づいてる、お前らもコレ読んで気づけ、みたいな文章だとうざいってなるんだが、星さんの文章はそんな感じを受けない。人類ってこんなにバカなとこもあるよねーかわいいよねーくらいというか、ちょっと違う気もするけど、とにかく嫌味がなくて、でもだからこそ考えさせられる部分もある。というか別にそういう戒めのために書いて無くて、ユーモアのための発想の一つでしかないというか、星さんにかかれば人間のブラックさもユーモアの一つの道具でしかない。星さんという人間の上品さが感じられる気がする。
善悪という概念が限りなく削り取られていて、星さんという人間の偉大さを感じさせる。 宇宙のキツネも夢の未来へも、たった3ページでこれはすごい。この結論を書かないことによって生まれる著者と読者の一種の連帯感と、ああやられた、という敗北感。すごい。